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マッシュミュージックスクール DTM科トラックメイク科講師の坂本竜太です。

今回は「ポーティスヘッドのようなダウナーなトリップホップサウンドの作り方」を解説していきたいと思います。
若い方はあまり馴染みのないバンド名かもしれませんが、ポーティスヘッド(Portishead)は1994年に アルバム「DUMMY」でデビューし、以降も唯一無二の(超)個性的なサウンド&トラックメイキングで音楽シーンを席巻したバンドで、 リーダーであるジェフ・バーロウは2015年公開のSF映画「エクス・マキナ」のサウンドトラックなども手がけています。
ポーティスヘッドは一般的には「トリップホップ」と呼ばれるジャンルになり、日本のロック・フェスでも有名なMassive Attackなども 「トリップホップ」と呼ばれれていた時期もありました。(本人たちはトリップホップと呼ばれることをかなり嫌っているようですが…)。

今回はそのポーティスヘッドの中から「Cowboys」「Mysterons」という曲の雰囲気を取り入れたアプローチを実践していきたいと思います。
トリッキーなテクニックが満載ですが、気に入った部分をご自身の楽曲のアクセントとして取り入れたりと様々な活用ができます。

今回は前編として「リズムサウンドメイキング」の解説となります。

冒頭部に動画解説。
それ以降は文章・音源での解説になっています。
それでは詳しく見ていきましょう。

「ポーティスヘッドのようなダウナーなトリップホップサウンドの作り方(中編:シンセサウンドメイキング編①)」の記事はこちら

「ポーティスヘッドのようなダウナーなトリップホップサウンドの作り方(中編:シンセサウンドメイキング編②)」の記事はこちら

 

 

動画解説

 

 

 

 

 

 

①トリップホップサウンドトラックを聴いてみましょう。

ますはデモ楽曲を聴いてみましょう。

 

いかがでしたでしょうか?

古いレコードからサンプリングしたようなブレイクビーツ
唐突に現れるDJのゆるいスクラッチ
哀愁漂うテルミンのサウンド

など、ポーティスヘッドを代表するアプローチを取り入れています。
少し歪んだピアノも印象的です。
少ないトラック数ながらも音の空間配置をしっかりと行うことでとても表情豊かな楽曲になっているかと思います。

このようなトラックを作り込む時に大切なポイントは
トリッキーでローファイなサウンドクリアでハイファイなサウンドコントラスト
です。

例えばブレイクビーツが低域がバッサリとカットされたスカスカなサウンドなら、ベースはサブベース(サイン波などで作られる オクターブ下のベースサウンド)などを取り入れて低域を補いブレイクビーツの存在を際立たせる。
などといったテクニックになります。
この他にも様々なテクニックが用いられていますので具体的なサウンドメイキングを見ていきましょう。


ポーティスヘッド:
「Cowboys」

 

 

ポーティスヘッド:「Mysterons」

 

 

 

 

 

 

 

 

②ブレイクビーツのサウンドメイキング #1

ではまず、リズムトラックのみを聴いてみましょう。


今回はスクラッチもリズムトラックとして捉えていきます。

このパートは

①ブレイクビーツ (2種類)
②スクラッチ (5種類)
③ドラムトラック
④オーケストラシンバル

で構成されています。
ブレイクビーツとスクラッチはフリーサンプルを使用しています。
今は様々メーカーが定期的に多種多様なフリーサンプルを配布していますので、こまめににチェックしておくと楽曲制作のアイデアも広がるのでオススメです。

個人的には「ICON」というウェブサイトSNSで発信されている情報をチェックしたりしています。
プラグインのセール情報なども掲載されていますので気になる方はぜひ一度見てみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

2.1 ブレイクビーツのプラグイン設定

 



キモとなるのはiZotopeの「Vinyl」という、名前の通りレコードで再生されているかのような音に加工してくれるプラグインで、 レコードのキズやほこりの量、マシンノイズやレコードの年代など様々な設定ができるとても優れたプラグインです。

iZotopeのオフィシャルサイトからフリーダウンロードできますのでこの機会にぜひ使ってみて下さい。
【iZotope : Vinyl】 をダウンロード

では、VinylのON/OFFでのサウンドの変化を聴いてみましょう。

VINYL ON

 

VINYL OFF

 

いかがでしょうか?
聴き比べてみるとプラグインの効果が実感しやすいですね。

このようなローファイな質感を丁寧に作り込んでいくことがトリップホップサウンドを作る上では大切なポイントです。

 

では各パラメーターの設定を見ていきましょう。

MECHANICAL NOISE : 8.8dB / WEAR : 0% / ELECTRIC NOISE : 8.8dB / DUST : 20.0dB / SCRATCH : -inf dB / WARP DEPTH : 0% / AMIUNT : 100% / YEAR : 1970

このように非常に多くのパラメーターが用意されており、かなりじっくりと音を作り込むことができます。
今回の設定はあくまでも参考ですのでご自身でどんどんパラメーターを動かしてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③スクラッチのサウンドメイキングと楽曲とのBPMの合わせ方

 

3.1 今回使用したスクラッチのサンプル

 

今回使用しているスクラッチのサンプルは計5種類ですが、こちらもフリーサンプルを使用しています。
ここでも以前のブログで登場した「Saturation」を使用してます。
「Saturation」を使用することでスクラッチの音にザラついた質感を与え、楽曲のテイストに馴染むようにしています。
そして「Saturation」を使用するとスクラッチ音によっては低域が膨れ上がってしまうので、シングルバンドEQで余計な低域をカットしたり、10バンドEQで微調整したりしながら5つのスクラッチ音がバランス良く鳴るように整えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

3.2 スクラッチのBPMの合わせ方

 


ここではタイムストレッチ機能は使わずソフトサンプラーを使い「MIDIノートをBPMと合うところまで移動させる」という方法を使っています。(今回はピッチを下げています)。
今回は基準値のC3からF2まで下げているのが写真で分かります。
かなり原始的な方法ですがピッチを下げることによってそのスクラッチ音が持っているザラつきが強調され 独特の質感が得られるのでオススメです。

 

 

 

 

 

 

 

3.3 スクラッチのサウンドメイキング

 

今回はLogic Pro X付属のソフトサンプラー「EXS24」の中にスクラッチの音入れてMIDIで打ち込んでいます。

手順①:まず空の「EXS24」のトラックを作るには新規トラックを立ち上げて「インストゥルメント」から選択します。
そして画面右上の「edit」というかなり小さいボックスをクリックし、出てくる別画面の中にスクラッチのファイルをドラッグ&ドロップします。

 

 

手順②:次にこの状態を保存したいので画面上の「音源」を選択し保存をクリックします。 (写真では既に保存してあるため文字がグレーアウトしていますが初期設定では白文字で表示されます)。

 

 

手順③:しかしMIDIノートの半音単位での移動ではスクラッチがどうしてもBPMに微妙に合わないという場合が出てくることがあります。
その際は「EXS24」の画面中央よりやや左側にある「Fine」というノブを左右に回して調整します。
これは「cent(半音と半音の間のピッチ)」を調整するパラメーターでここを調整することで半音と半音の間を調整し、微妙なズレを合わせていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④ドラムトラックのサウンドメイキング

次に後半に登場するドラムトラックを聴いてみましょう。

 

独自のコンプレッションが効いた個性的な音に仕上がっていますね。

今回は「Pedalboard」の中から「Double Dragon」というオーバードライブを使用してこのようなサウンドに仕上げています。
このようにギター用のプラグインをドラムやピアノなどにインサートすると、理論上は本来の使い方ではなくなるため非常に個性的なサウンドを作り出せるのでオススメです。

 

 

 

 

4.1 Double Dragonの設定

 

【Double Dragon】 Drive : 20.0dB / Tone : 50 / Level : 0.0dB / Input : 0.0dB / Squash : 55 / Contour : 75 / Mix : 100% / スイッチ : Bright

また、さらにザラついた質感にするために「Bit Crusher」をインサートしています。
この「Bit Crusher」は飛び道具のような使われ方をすることが多いですが、今回のように微妙なローファイ感を作り出す時にもとても効果的なプラグインですので、今回のようにドラムに限らす色々な楽器にインサートしてみると良いでしょう。
各パラメーターもどんどん動かしてみて下さい。

【Bit Crusher】 Drive : 3.5 / Resolution : 8bit / Downsampling : 2x / Mode : Clip

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?
それぞれのトラックはどれも個性的なローファイな音作りになっていますが、クリアでハイファイでワイドレンジなサウンドが主流の現代でまたひと味もふた味も違った輝きを放っているかと思います。
このような個性的なテクニックはハイファイなサウンドの中にアクセントとして配置するとお互いのサウンドのコントラストを明確に際立たせてくれるとても良いテクニックとなっていますので、ぜひ皆さんもご自身の楽曲に取り入れてみてください。
次回は「中編 : シンセサウンドメイキング編」なりますのでこちらもお楽しみに!
「ポーティスヘッドのようなダウナーなトリップホップサウンドの作り方(中編:シンセサウンドメイキング編①)」の記事はこちら

「ポーティスヘッドのようなダウナーなトリップホップサウンドの作り方(中編:シンセサウンドメイキング編②)」の記事はこちら

下記に本日のまとめ実践ガイドも書き記してあります。
ご自身の音楽生活に役立ててください!
是非一度、当スクールレッスンにも遊びに来てください。

坂本竜太講師の執筆ブログ記事ページ

 

 

 

 

まとめ

①iZotope「Vinyl」はとても幅広い音作りができるユニークなプラグイン。
この機会にぜひ取りれてみよう!

②スクラッチはタイムストレッチよりサンプラー&MIDIで処理することで独自の質感に仕上げよう!

③「Bit Crusher」は実は汎用性の高いプラグイン。
新しい音作りに積極的に取り入れてみよう!

 

実践ガイド

今回の流れをオーディオデータと画像で解説

デモ楽曲

 

リズムトラックのみ

 

VINYL(ON)

 

VINYL(OFF)

 

ドラムトラックSolo

 



画像解説
①ブレイクビーツのプラグイン画面



②VINYLのパラメーター画面



③スクラッチのプラグイン設定画面




④スクラッチのピアノロール画面




⑤EXS24_呼び出し画面

 


⑥EXS24の使い方画面_001

 



⑦EXS24の使い方画面_002




⑧EXS24_セントの調整画面




⑨ドラムキットのサウンドメイキング画面



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