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マッシュミュージックスクール DTM科トラックメイク科講師の坂本竜太です。

前回に引き続き今回も
「DAWソフトのみで作る「Bring Me The Horizon」の「Doomed」のようなシネマティックでエレクトロなオルタナティブ・ロック」
を解説していきたいと思います。

後編となる今回は「ギター~オーケストラパート編」の解説となります。
今回のブログはギタリストではないDTMerの方にも即戦力になるのではないかと思います。

また、既に当スクールのブログに掲載されているテクニックを交えながらの解説となりますので、 より実用性も高く即戦力になる内容となっています。

それでは詳しく見ていきましょう。

前編「リズムパート編」の記事はこちら

Bring Me The Horizon:Doomed

 

 

動画解説

 

 

 

 

 

 

①まずはデモ楽曲を聴いてみましょう(リズムトラックあり / なし)

 

ますはデモ楽曲を聴いてみましょう。

 

デモ楽曲(リズムトラックあり)


デモ楽曲(リズムトラックなし)

 

いかがでしたでしょうか?

リズムトラックあり / なしで聴き比べてみるとシンセとストリングスのレイヤー感やギタートラックの細かな作り込みがより分かりやすくなっているかと思います。

使用しているトラック数は、

◉ギター : 4トラック (メイン : 2トラック = LR + アルペジオ : 2トラック = LR)
◉ベース : 1トラック 
◉ストリングス : 4トラック (メイン : 2トラック = LR + アクセント : 2トラック : ステレオ)
◉ブラス : 1トラック
◉シンセ : 2トラック

計12トラックの構成となっています。
12トラック構成となると音作りが大変そうに感じるかもしれませんが、アレンジのキモとなるギターやストリングスなどは 「同じ音色でフレーズを変えてレイヤー」させたりとさほど複雑ではないので、ご自身の楽曲にも取り入れやすい内容になっています。
では具体的なトラックメイキングを見ていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

②ギターのサウンドメイキング #1 (サビ部分= ラウドギター)

ではまず、このパートのギタートラックのみを聴いてみましょう。

 

 

 

2.1 トラック構成・音色の呼び出し方

 

このパートはLRの2トラックの構成になっており、

TR①:L側
TR②:R側

それぞれ振り切っている状態です。


音作りの土台となるギターの音色の呼び出し方から見ていきましょう。
今回もLogic Pro X (9)に標準で搭載されている音色の中から「Sunburst Electric」という音色を使用しています。
この音色は「レガシー」と呼ばれる場所にあります。

ソフトウェア音源 → レガシー → 09.Guitars → 02.Elecric Guitars → Sunburst Electric

の順で呼び出します。

 

 

 

 

2.2 プラグインのインサート順・SIGMAのセッティング


次にプラグインのインサート順を見ていきましょう。

◉Compressor → ◉Gtr Amp Pro → ◉Sigma → ◉Chorus → ◉Tape Delay → ◉Space Designer

という順になっており、ギターの音作りとしてはオーソドックスな設定になっています。
今回のこのラウドギターの音作りでキモとなってくるのが
「AUDIO ASSAULT」からリリースされたギターアンプシミュレーター「SIGMA」
です。
※現在「SIGMA」は廃盤となっており、販売メーカーAUDIO ASSAULTから類似のプラグインが販売されております。
「Dominator」

「Hellbeast」

ハイゲインのメタリックなギターサウンド向けのプラグインですが、このプラグインの魅力を最大限に引き出すためにSIGMAで歪ませる前に基礎的な音作りをしっかりと行いましょう。
ではSIGMAで歪ませる前のギターサウンドとSIGMAをONにした時のサウンドをそれぞれ聴いてみましょう。


SIGMA_OFF


SIGMA_ON

 

このようにメインとなるプラグインで全ての歪みを作るのではなく、予め適度にクランチなサウンドを作っておいてからメインとなるプラグインで歪ませることで、よりリアルなギターサウンドに仕上げることができます。

次に「SIGMA」のセッティングを見ていきましょう。
ここでキモとなってくる点は「左右のギターで異なるギターアンプを使用する」という点です。
アンプ自体のパラメーターの数値は左右で同じなのですが、アンプの種類を左右で変えることでギターの音像に微妙な変化を与えることができ、より自然なステレオ感を作り出すことができます。
※これは次の③で解説する「左右で同じギターフレーズ構成の場合のステレオ感の作り方 = MIDIノートのズラし方」とリンクしていますのでその点も併せてご覧ください。

【SIGMAの各種パラメーター設定】
GAIN : 8.5 / FOCUS : 7.15 / BASS : 5 / MID : 3.5 / TRBLE : 4.55 PRESENCE : 7.5 / DEPTH : 5 / MASTER : 4.5

【SIGMAのアンプの種類】SIGMAの画面右下のボックスで変更可能
L側 : SLO412-X12K-API_R121
R側 : EV412-SM57

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ギターのサウンドメイキング #1 (サビ部分 = ラウドギター) : リアルなステレオ感の作り方

次に②で作った音色を使って実際にギターを打ち込んでいく際のポイントを見ていきましょう。
打ち込みのギターでステレオ感を出す方法は多々ありますが、今回は
「左右のギターフレーズが同じ場合」
の解説となります。

今回のように左右で同じギターフレーズが鳴っている場合、
「音の鳴るタイミング = ピアノロール上のノートのグリッドの位置が同じトラックを左右にパンニングしてもサンプル楽曲のような自然なステレオ感を得ることはできません」
というのも上記の状態ですと、
「ステレオ感のある2本のギターサウンドをただLRに振り切っているだけ」
ですので、
「L側のギターサウンドはR側の音の成分が無くなっただけの状態 & R側のギターサウンドはL側の音の成分が無くなっただけの状態」
ですので、
「結果的には1本のステレオ感のあるギターが鳴っているだけの状態と同じになってしまう」
からです。

しかし
「実際のギターで同じフレーズを2回弾いてLRにパンニングさせてステレオ感を出す」
というのは定番のテクニックです。
「実際のギター = 人間の弾いているギターでは同じフレーズを弾いていても常に微妙なズレが生じている」
ので、 この微妙なズレが自然なステレオ感を作り出しているのに対して、
「打ち込みのギターは常に同じタイミングで鳴っているため、 この人間特有のズレが出ない」
ということになってしまいます。

ですので、この「微妙なズレ」を「ピアノロールのMIDIノートを左右のギターでズラして再現」していきます。
L側のギター

R側のギター

このような細かなエディットがギタートラックのステレオ感を大きく左右しますのでぜひ試してみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④ギターのサウンドメイキング #2 (ラウドギターにレイヤーしているアルペジオギター)

ではまず、このパートのギタートラックのみを聴いてみましょう。


このギターパートはサビの後半部分に登場するフレーズですが、楽曲全体で聴くとだいぶ小さめなミックスになっています。
今回のギターパートの主役はSIGMAで作り込んだラウドギターですので、このような装飾的なフレーズは薄くミックスさせる程度がベストです。

また、このような薄くミックスされたギターフレーズは楽曲自体には派手な変化は与えないものの、 楽曲全体のステレオ感~立体感を豊かにする際にはとても効果的なテクニックとなっています。

このようなギターサウンド、およびギタートラックの打ち込みに関しては、以前に執筆しました

「オールジャンルで活躍する 立体感のあるギタートラックの作り方 (前編)」
「オールジャンルで活躍する 立体感のあるギタートラックの作り方 (後編)」

にて詳しく解説していますので併せてご覧ください。
尚、今回の楽曲で使用しているこのレイヤーのギターサウンドは、上記のブログで紹介しているギターサウンドと同じプラグインのセッティングとなっていますのでより分かりやすいかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⑤オーケストラセクション (ストリングス & ブラス)

ではまず、このパートのオーケストラトラックのみを聴いてみましょう。


このセクションは

◉ストリングス (Aメロ : 2トラック : LR)
◉ストリングス (Aメロ : 1トラック : アクセント)
◉ストリングス (サビ : 1トラック)
◉ブラス (サビ : 1トラック)

計5トラックで構成されています。

◉ストリングス (Aメロ : 1トラック : アクセント)
◉ストリングス (サビ : 1トラック)
◉ブラス (サビ : 1トラック)
の3トラックはNative instrumentsのKONTAKTライブラリーの音源を使用していますが、


Aメロ部分のストリングス音源に関しては、 Logic Pro X純正のストリングス音源を使用してアーティキュレーションまで作り込んでいます。

このAメロで使用されているLogic Pro X純正のストリングス音源を使った音の作り込みに関しては、 以前に執筆しました

「Logic Pro Xの純正音源でストリングスのアーティキュレーション(ビブラート)を表現しよう!」

にて詳しく解説していますので併せてご覧ください。

尚、今回の楽曲で使用しているこのAメロのストリングスは、上記のブログで紹介しているストリングスとほぼ同じプラグインのセッティングやアーティキュレーションの設定、打ち込み方となっていますのでより分かりやすいかと思います。


また、ストリングスパートに関しては、

Logic Pro Xの音源を使ったストリングス = サチュレーションでザラつきを与えた音

と、

KONTAKTライブラリーのストリングス音源 = クリアで透明感のある音

というように2種類のタイプに分けて使用しています。
これは、「ラウドギターが鳴っている時と鳴っていない時で使い分けている」と捉えていただいて良いかと思います。

Logic Pro Xの音源を使ったストリングスはサチュレーションでザラつきのある音(= 弦の擦弦感を強調した音)にしているので、 ギターの歪みの成分と被ってしまい、お互いの良さを打ち消しあってしまうので、サビのラウドギターが鳴るパートでは使用せず、 Aメロのパートのみで使用します。

また逆にラウドギターが鳴るパートでは擦弦感の少ないクリアなストリングス音源を使用することで ラウドギターを支えるような役割を持たせています。

このように
「同じストリングスというパートでも使用するシーンによってテイストを使い分けることで、そのシーンが一番際立つアレンジに仕上げることができます」

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?
厚みのあるサウンドに仕上げる = 多くのサウンドを無闇に重ねるのではなく、それぞれのサウンドが持つ個性や特徴を理解し、適材適所に配置することでクリアかつ厚みのあるアレンジに仕上げることができ、音像にもグッと立体感や躍動感を持たせることができます。
今回のブログはギタリストではないDTMerの方にも即戦力になるのではないかと思いますので、ぜひ皆さんもご自身の楽曲に取り入れてみてください!
下記に本日のまとめ実践ガイドも書き記してあります。
ご自身の音楽生活に役立ててください!

質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。
是非一度、当スクールレッスンにも遊びに来てください。
それでは次回のブログもお楽しみに!

坂本竜太講師の執筆ブログ記事ページ

 

 

 

 

まとめ

①ワイドなステレオ感のあるラウドギターはLRで音色を微妙に変えつつMIDIノートをズラして打ち込むテクニックがポイント!

②ロングトーンなラウドギターに対してクランチなアルペジオギターを重ねてより立体的なサウンドに仕上げよう!

③ストリングスは配置する場所で鳴っている他のパートの音を理解して音の質感を使い分けよう!

 

実践ガイド

今回の流れをオーディオデータと画像で解説

デモ楽曲


RHYTHM_OFF


LOUD_GUITAR


LOUD_GUITAR_SIGMA_OFF


ADDITIONAL_GUITAR


STRINGS


 
画像解説
①ラウドギター画面



②ギターの音色選び画面



③ラウドギタープラグイン#1画面




④ラウドギタープラグイン#2画面



⑤アンプシミュレーターSIGMA画面



⑥アンプシミュレーターSIGMA_LR画面



⑦ギタートラック_MIDIノートのズラし画面_#1



⑧ギタートラック_MIDIノートのズラし画面_#2



⑨ストリングス_ブラスセクション画面



⑩KONTAKT音源_ストリングス_ブラス画面



⑪ストリングス_アーティキュレーション画面_#1


 

⑫ストリングス_アーティキュレーション画面_#2



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