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どうやってゆっくりした曲に変化をつけて、思いっきり楽しく演じることができるか
2019/5/11
ピアノ
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マッシュミュージックスクール ピアノ科講師の相原一智です。
本日は、ゆっくりした曲に上手な変化をつけて、思いっきり楽しく演じるためのヒントについてお話しします。
意外に難しいのですが、コツが分かるとこれほど面白い世界も無い!
と言えるくらい奥深いピアノの魅力があります。
①ゆっくりした曲の思いがけないハードル

元々あなたの弾く曲が、指が速く動く、変化に富んだキャラクターならそんなに表現に苦労する事はないかもしれません。
例えばモーツァルトのトルコ行進曲とか。
元気に演奏出来れば、聴いている側もそれだけで楽しくなれます。
楽譜通りに指が動くまでは大変かもしれませんが、少しずつテンポを上げて練習して行けば大丈夫でしょう。
でもテンポの遅いデリケートな雰囲気を出すのに工夫がいる曲はどうでしょうか。
例えばノクターンとか、歌を聴かせるバラード系のジャンルが当てはまります。
指を動かすのは、楽ですね。
けれど、繰り返し出てくるメインのメロディの歌い方の工夫など、「ただ弾く」だけでない表現への踏み込みが必要になって来ます。
ときには楽譜に書いてあることを鵜呑みにせず指示を変えて、大胆に自分で「つくって」演じた方が良いことさえあります。
意外にもゆっくりの曲は、生き生きと表現すると言う演奏テクニックを磨くには難度の高いハードルをいくつも持ってることが多いんですね。
そのコツが見えてきて、楽しめるようになると、その日の気分次第で全く表現を変えて演奏できるようになり、非常にピアノの世界の魅力に引き込まれるのですが・・・。
最初はどうしたら良いのか分からないと思います。
曲の中に数多くの上手な変化をつけるには正しい知識と、演じ切る大胆さが必要です。
②ベートーヴェンの月光第1楽章を例に
正しい知識とは、「こうすれば上手くいくことが多い」というコツ・お約束のようなもの。
実はかなり多くありますが、ここでは、
・フレーズの作り方
・構成(形式)を知る
という2点だけに絞ってお話しします。
ベートーヴェンの月光の第1楽章を例に見てみましょう。
2.1 フレーズの作り方
まずはフレーズの話から。
フレーズがいくつか組み合わさって、起承転結を作っていることはとても多いです。
月光の最初の部分、で1つのアイディアを出してみました。
①1~4小節目
②5~8小節目
③9~15小節目一拍目
④15小節目続き~19小節目前半
⑤19小節目後半~23小節目の入り
この中では、①が前奏、②で旋律が入り、③旋律を歌いつないで転調、④でクライマックス、⑤で締めくくり、というストーリーを感じることができます。
②~⑤が起承転結にそれぞれ当てはまると思います。
ずっとppの中で、似たようなキャラクターの続く中でも違いを出すには、どこがクライマックスかを自分で決めることが大切です。
山に向かって自然にクレッシェンドして、その後はなだらかに坂を下るようにいったん静まった後、次の場面(中間部など)でまた大胆に演じ変えるとすごく新鮮だったりするんですね。
そして①~⑤が合わさって、「主部or第1部」になり曲全体の重要な内容を構成しています。
2.2 曲の構成・形式の話
さて、曲の構成・形式の話です。
これを知るとどんないいことがあるでしょうか。
曲全体の、変化づけのポイントを抑えることができる。
曲全体を(楽譜があたかも3Dの地図であるかのように)起伏をもって俯瞰することができるんです。
先ほどは、②~⑤のフレーズ単位で起承転結を見ましたが、そのより大きなバージョンとして、全曲での起承転結が見えてきます。
この月光の1楽章なら、 形式は
・主部(~22小節目)
・中間部(23~41小節目)
・再現部とコーダ(42~)
の三部構成になっています。
ではここでクイズ(笑)です。
1...どこに全体のクライマックスをおくと良いでしょうか?
2...どこが1番遅くなると流れが良いでしょうか?(答えは実践ガイド、にて)
それが一つ一つのフレーズとともに自然に変化づけられることが大切なんですね。
大きく変化をつけるところと、さりげなく変化をつけるところがあります。
上手な人はあまりに自然にできてしまうのですが、考えなしにやっているわけではありません。
絶妙なバランス感覚を磨くことが大事ですし、これは上にはキリがないくらい、素晴らしい例があります。
(ピアノに限らず)優れた演奏を観察してみましょう。
注意して聴かないと見過ごしてしまうほどのデリケートなものです。
でもここが分かると、ものすごく曲に対して「目から鱗」の体験が出来ます。
「あ~こんなことをやってしまっても良いんだ!」
とか、
「自分ならこうやりたい!」
など意欲も高まります。
いかがでしたでしょうか?
下記に本日のまとめと実践ガイドも書き記してあります。
ぜひご自身の音楽生活に役立ててください!

まとめ
①ときには大胆に自分で「つくって」演じた方が良い。
②フレーズの起承転結
曲全体の起承転結
と、全体のバランス感覚を磨きながら曲を作って行く楽しみがある。

実践ガイド
①ポピュラーであれば自分でもアレンジを加えることは良くあるでしょうが、クラシックは楽譜に忠実でなければならないと言う思い込みが足を引っ張ります。
確かに音そのものを変えることはあまりありませんが、例えば強弱の指示をどこまで守るか、は作曲家によってもかなり違うんです。
pと書いてある場所でも、もっともっと大きくした方が良いことはよくありますし、ケースバイケースで柔軟に対応することが大事です。
その意識が欠けていると、つまらない、個性や変化のない演奏になりがちです。
②クイズの答え
当然ですが人それぞれ見方が違うはずです。その違いがまた面白いのです。
私の1つの答えとしては、
1...クライマックスは中間部の35~39小節目のファンタジックなカデンツァ部分。
でもどこまで強くするか、どの音を特に目立たせるか、など全く状況によって変わってくるでしょう。
2...遅くなるのは曲の1番最後になるのが自然です。
でもどれくらい遅くなると1番上手くいくでしょうか?
やっぱりケースバイケースです。
曲の途中でも遅くしたくなるところはありますが、あまりにテンポが緩むと三連符の流れが途切れてリズムが崩れてしまいます。
やはり、バランス感覚を磨くのが大事だと思います。
自分であれこれ試してみて録音して聴いてみるのが1番ですね!

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