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マッシュミュージックスクール ピアノ科講師の相原一智です。

本日はクラシックの曲に必ず出てくる「ソナタ形式」について分かりやすくお話しします。

ピアノだけでなく、クラシック曲全体を通して一番大切な形式なので、逆に言えば「これさえマスターすれば怖いものなし」と言えるほど、曲を弾くときにも、聴く時にも役に立つ要素が詰まったものです。

私は個人的に、ピアノが弾ける!と人前で自信を持って言えるのは「2分くらいは演奏を聴かせることが出来ること」だと思います。
2分を超える曲は弾いていても長いし、聴く方に取っても長いです。

そんな長い曲をいかに魅せるのか、聴かせるのか、その秘密がソナタ形式には隠されています。

基本的に「ソナタ形式」は、長い曲を最も効率よく聴かせるために、弾けるために作曲家達が編み出したテンプレだと思っていただけると良いと思います。

では、見ていきましょう!

 

 

 

 

 

 

①テンプレのようなもの

ソナタ形式は、曲全体を区切るのにとても便利な形式です。
「前半-後半」と2つにも分けられるし、「提示部-展開部-再現部」と3つにも分けられます。

また、起承転結という意味では、
「提示部の転調前まで(起)-転調後提示部の終わりまで(承)-展開部(転)-再現部以降曲の終わりまで(結)」
というように4つに分けることもできます。
(※必ずしもピッタリ当てはまらないこともあります)

基本的にはA-B-A’(A:主部or提示部-B:中間部or展開部-A’:Aに変化が入った形)、という三部形式と言って良い形なのですが、ソナタ形式はより発展しています。
曲のメインとなるテーマの個性がよりはっきりして、そのテーマを軸に展開・転調させる形で全体が進んでいくんですね。 

また、「これが絶対」という形が実のところありません。
最初に序奏がつくことや、最後にコーダがつくこともあり、非常に自由にユニークに応用が効く形式でもあります。

短いものは1分程度、長いものは30分を超えるような、ありとあらゆる長さの起承転結のストーリーをとてもシンプルにまとめてくれるテンプレート(型)で、曲を弾く人にとっても、作曲する人にとっても一番便利な形式だったので今まで残ったのだと思います。

大体1750年ころに原型が出来た後、ずっと今まで受け継がれてきました。

その中でも大切な要素は、「転調」です。
転調する中での曲全体のキャラクターが変化していく面白さがあることで、自然に聴く人が音楽に引き込まれます


 

 

 

 

 

 

 

 

②ベートーヴェン「運命」を例に

中学校の音楽の試験でも出てくる、オーケストラ曲・ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を取り上げてみていきましょう。
第1楽章と第4楽章がソナタ形式なのですが、今回は第1楽章で見てみます。

最初の第1テーマで「ダダダダーン」という、運命の動機(モティーフ)が力強く、ショッキングに登場し、曲全体を非常に印象付けます
主調(メインの調性)はハ短調です。

しばらく進んで、第2テーマでは変ホ長調に転調し雰囲気が明るく柔らかなものに変わります
その調のまま提示部・前半が終わります。ここまでがもう一度繰り返されることが多いです。

やがて展開部ではこれまで登場したテーマや、運命の動機を用いてさらに転調を繰り返しながら、曲全体がヒートアップしていきます
クライマックスを経て、再び主調・ハ短調に戻り、一番最初に登場した提示部が戻ってきます。

それが「再現部」です。

でも今度は定型通り、主調のまま転調せず終わりに向かう・・・と書きたいところなのですが、さすがは天才ベートーヴェン、そう簡単に終わらせません。

第2テーマでハ長調にした後、明るく終わった再現部、の後にコーダを持ってきます。
さらなるクライマックスの中、主調ハ短調に戻ってきます。

このように、転調をもとにしたキャラクターの変化・ドラマがソナタ形式の中にはある、ということを分かっていただけると嬉しいです。

より詳しく知りたい方は、

↑の動画をご覧いただけると演奏ととともに分かりやすくソナタ形式の要点が押さえられると思います。




 

 

 

 

 

 

 

③簡単なソナチネでは

「運命」はとても大きな曲なので、もっとシンプルで簡単な曲で見てみましょう。

ピアノ初級者が習う、ソナチネ(ソナタの小さなもの、という意味)はソナタ形式を最も簡単な形で学べる教材です。
一番入りやすい、クレメンティのソナチネ(作品36-1、ハ長調)第1楽章で見てみましょう。

↓楽譜※pdfの1~2ページ目の3段目、までが第1楽章
IMSLP02564-Clementi_-_Sonata_Op._36,_No.1

上から3段目の終わりまでが前半(最後に繰り返し記号あり)。
4段目(最初に繰り返し記号あり)から終わりまでが後半です。
小節数で言えば1~15小節目までが前半・提示部、16~38小節目までが後半・展開部以降、です(※各段の左上に書いてある小節番号で確認できる)。

より細かく見ていきましょう。
主調はハ長調です。
最初の4小節目までに第1テーマらしきものが現れます。
fで元気のよい雰囲気です。
そこから8小節目にかけてト長調に転調していきます

そこからが第2テーマらしきもの、です。
少し流れるような音楽に変わります。
後半で第1テーマがハ短調に転調して、しかもpで出て来ます
ここでの演じ分けが大切です
その後fに変わってクライマックスを作った後、再びハ長調に戻ります。

24小節目から前半の再現(再現部)。
でも最初と違ってpです。
その後31小節目から第2テーマが今度は転調しないまま曲の終わりをまとめます。
こう見てくると、「運命」と同じ型がすごくミニチュアでここにもあることが分かります。

↓演奏動画と合わせて見てみると分かりやすいと思います。









 

 

 

 

④どんな弾き方をしたらいいの?

演奏が生き生きとして、聴いている人も引き込まれるようなドラマが織りなせることが大切です。

「メリハリをいかにつけられるか」が全てと思っていただいて構いません。
強弱、テンポの伸び縮み、和音のバランスや微妙なずらし・・・など、楽譜には書いていないことをプロの演奏家たちは微妙に実に数多く工夫しています。

結構自由にやってしまって良いんですね!

そして一人一人異なった音楽が、生き生きと流れるのが面白いんです。

起伏づけ、もやりすぎると全体のバランスがおかしくなるし、逆にあまりに変化が少ないと全く面白くありません。
料理の味付けのように、非常に工夫のしどころが満載です。

是非優れた音楽の演奏をたくさん聴いてコツを「盗み取り」ましょう!


 








いかがでしたでしょうか?
下記に本日のまとめ実践ガイドも書き記してあります。
ぜひご自身の音楽生活に役立ててください!

 

 

 

 

まとめ

①ソナタ形式は、曲全体の起承転結ストーリーを分かりやすくしてくれる形式

②転調をもとにしたキャラクターの変化・ドラマがソナタ形式の中にはある

③「運命」と同じ型がすごくミニチュアでソナチネにもある

④楽譜に書いていないことも結構自由になってしまって良いが、コツがあるので優れた演奏を数多く聴いた方がいい。

 

実践ガイド

①是非自分が弾くソナタ形式の曲の楽譜のどこが、「前半-後半」なのか、全体の中の大きな場面転換を把握してみましょう。
その中で最初と転調しているか、どこで転調しているかを分かるとそこから新しい演じ替えをすると全体が引き立ちます。
そして後半からはさらに転調が繰り返されているはずなので、そこから更に変化をつけるところを把握しましょう。
そしてその後のクライマックスの後で最初の部分をどう戻らせるか、がとても曲全体を面白くさせる要所です。
工夫しましょう。
そして最初の部分が戻ってきた後は、曲の最後をどうまとめるかざっくり意識できると良いと思います。

②自分の弾くジャンルの曲だけでなく、交響曲や、他の楽器の作品でもソナタ形式があるので、その違いを観察してみるととても役に立ちます。
今回取り上げた例を是非見てみてください。

③自分の弾く曲でもただ、練習するだけでなく、細かくテーマがどう変化しているのかを①のように楽譜で見るだけでなく、実際にプロの演奏を通してみてみると、ソナタ形式の変化の要所が見えてきます。

④規則があるようで、無い。
けれども曖昧なようで、しっかりとあるその曲を面白く聴かせるためのルール、言葉にすることが出来ないコツを是非つかんで行きましょう。



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