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マッシュミュージックスクール ボーカル科作詞科作曲・編曲科講師の藤本涼子です。

「ミックスボイス」という言葉が広まって随分と認知されてきましたが、実際はどんな声なのかご存知ですか?
ミックスボイスは難しい発声でしょうか?
どうやって楽にミックスボイスをどうやって求めていけば良いでしょうか?

私は普段、「カラオケをうまく歌えるようになりたい!」というアマチュアシンガーの方へのレッスンから、
プロのシンガーやミュージカル俳優、そしてボイストレーナーの養成も行っていますが、「ミックスボイスを出せるようになりたい!」とレッスンにやってくる方も少なくありません。
少し専門的な内容ですが、ミックスボイスのことをしっかりと学びたい方はぜひご覧ください。




 

 

 

 

 

①はじめに:ミックスボイスとは?ミックスボイスの種類について

ミックスボイスが出せるようになりたいと思っている方は多いですが、実際に自分のミックスボイスがどんな声なのかを理解している方は少ないです。
日本ではほとんど”ミックスボイス”とひとくくりにされていますが、まずは、ミックスボイスにも種類があることを知りましょう。

★ミックスボイスの種類
✔︎ヘッドミックス
✔︎チェストミックス
✔︎ベルティング(ベルトボイス)

 

 

 

 

 

1.1 ヘッドミックス


まず、ヘッドミックスは、ヘッドボイス優位のミックスボイスです。
高音が得意で低音が苦手な方の中には、チェストボイスが弱いために、低音域をヘッドミックスで発声している方も多々見られます。
そのような場合は、まずはチェストボイスを鍛えることが先決です。

 

 

 

 

 

 

1.2 チェストミックス


次に、チェストミックスは、チェストボイス優位のミックスボイスです。
「低音から地声で歌っているとある一定で苦しくなるためにミックスボイスにしましょう」とよく言われているのは、こちらのチェストミックスのことを指しています。

チェストミックスは、チェストボイスのサウンドクオリティを保ちつつ、ヘッドボイスのサウンドクオリティを融合させていきます。
中低音域が得意な方で高音が苦手な方の場合、チェストレジスター(声区)の限界の音域のブリッジポイント(喚声点)を無理やりチェストボイスで張り上げて歌わないようにするために、チェストミックスの発声が必要ですが、そのためにはヘッドボイスをしっかりと鍛えておくことが必要となります。

 

 

 

 

 

 

1.3 ベルティング(ベルトボイス)


最後に、ベルティングは、ベルトボイスとも呼ばれますが、チェストミックスの中に含まれています。
ベルティングとは、「belt=打撃を与える」というように、他の声や楽器よりもスコーンと抜けた、舞台から観客席に届きやすい強いサウンドです。
新たな声区だと、よく勘違いされていたり間違われていますが、チェストミックスを強化したものがベルティングです。
そのため、まずはチェストミックスを出せるようになることが先決です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②ミックスボイスのトレーニングに取り組むための大前提ー Cross Training

 

チェストボイス、ヘッドボイス、ミックスボイスというレジスター(声区)バランスは、

ピッチ(音程)、母音(共鳴/フォルマント)、ボリューム(音量)によって変化します。


つまり、

出したい音程を『母音』と『ボリューム』を微調整することによってミックスボイスを求めていきます。


ここで注意ですが、ミックスボイスのトレーニングの大前提として、ヘッドボイスとチェストボイスをそれぞれ楽に発声できていることが必須です。
この2つのレジスターを違いを明確に発声できるトレーニングを行ってからミックスボイスに取り組みましょう↓

ヘッドボイスのトレーニングは過去記事のこちらから: 【高音の出し方】 

チェストボイスのトレーニングは過去記事のこちらから: 【低音の出し方】

それでは、ミックスボイスのトレーニング法をお伝えします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③ミックスボイストレーニングー Mouse shape を整える(母音の響きの調整)

まず、求めたいミックスボイスとは実際にはどんなサウンドでしょうか?

ミックスボイスの音色の特色は、 Bright =明るい です。
音色を明るくさせるためには、口を相対的に横方向に開きます。
英語では、split(スプリット)と言われます。

例えば、トランペットやサックスなどの楽器の形を別の形に変えてしまえば、音色は変わってしまいますね。
ボーカルでは、マウスシェイプによって自分の楽器の形を変えることで、音色を変えていきます。
そして、具体的なマウスシェイプの調整の仕方は、『母音』によって行います。

 

 

 

 

 

 

3.1 母音の響きの明るさがミックスボイスの鍵

 

 母音は、『口の開き方』『舌の位置』によって各母音が作られます。

例えば、「あ」の母音では、口を縦目に開けて発声してみてください。
その時に、下顎をそのまま下方向へ落とすように開けましましょう。
その後に、口の開きは保ったまま、ほんの少しだけ口角を上げるようにして同じ「あ」を発声してみてください。

母音の音色の変化を感じられましたか?
また、音の響く位置は変化しましたか?

マウスシェイプをスプリットしたミックスボイスの場合は、声は相対的に前面方向に響きます。
反対に、縦目に開けた場合の母音の響きは、相対的に奥まった響きとなります。

まずは、ご自身の出しやすい母音から取り組んでみて、同じ母音の音色が口の開き具合によって『明るさ』が変化することをよく聞き取ってみてください。
これまで意識をしてこなかった聞き方だと思うので、耳が慣れない間はサウンドの変化はとても小さくて分かりにくいかもしれません。

しかし、ボイストレーニングの上達にイヤートレーニングは必ず必要な要素です。 「微細な変化が聴けるようになるかどうか」が、上達への鍵を握っています。
根気強く聞き分けられるように注意しながら音を聞き分けながら、発声の違いを分かるようになりましょう。

 

 

 

 

 

 

3.2 なぜ母音の響きを調整することがミックスボイスのトレーニングになるのか?

 

 マウスシェイプを横目に開くスプリットさせながら、母音の響きを調整するその目的は、『調音器官(アーティキュレーター)のアジャスト』です。

まず、調音(医学用語では構音と言います)とは何かご存知でしょうか?
それは、舌や唇などの調音器官を位置や動きを変えることによって声帯より上の空間の共鳴が変化して音声(言葉)を作り出すことです。
例えば、英語の発音を真似しようとして、似ていないということはありませんか? それは発音(プロナンシエーション)と調音(アーティキュレーション)の違いです。
同じように発音しようと真似しても、調音器官の位置や動かし方が違うために、「なんか、ネイティブとは違う発音。。。」ということになります。

調音器官(アーティキュレーター)とは、舌、顎、軟口蓋、硬口蓋、歯、唇です。
演劇やミュージカルの方で、発声練習を行う際に、目を大きく見開いたり、眉毛を上げたりして顔の表情を大きく動かすことで、明瞭な発声をするトレーニングを行なう方が少なくありませんが、 残念ながら、それは明瞭な言葉を作り出す調音や、ミックスボイスを含めたレジスター(声区)を自由に発声できるトレーニングとしては、とても非効率です。
表情を作るための顔の筋肉と、調音や発声に必要な筋肉の場所や使い方は別です。 アーティキュレーターの微細な調整によって、音色も変化します。
サウンドの変化も初めは小さな変化で分かりづらいかもしれませんが、その後のミックスボイスの発声に対して大きな影響を与えます。

母音の明るさを意識してマウスシェイプとアーティキュレーターの調整をまずは行っていきましょう。
それができた上で、次章のミックスボイストレーニングのためのエクササイズ法を5段階に分けて取り組んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④ミックスボイストレーニング:エクササイズ①〜⑤

 

①ヘッドボイスからチェストボイスへ1オクターブのスライドダウン
高音が出しにくくなるブリッジの音程(=地声を張り上げないと出ない音程)より高い音程(男性だとC#4~E4あたりから/女性だとC#5~E5あたり)から、
ヘッドボイスで1オクターブ低い音程までスライドします。
できるだけゆっくりと、低い音程にかけてチェストボイスへとスライドを移行していきましょう。
スムーズに楽にできるようだったら、最高音と最低音が楽に発声できる範囲で音程を変えていきます。

 ↓

同じ母音と同じ音程で、今度はチェストボイスの音色を『明るく』していきましょう。
その時に、唇のポジションをチェストボイスと比較して相対的に口角を軽く上げてスマイルの口にします。
明るいチェストボイスの音色=音質にライトさが加わったチェストミックスの音色です。
これも楽に発声でき、音色の違いを作り出すことができたら、色々な音域をエクササイズしていきましょう。

 ↓

低音から1オクターブ上までチェストミックスからスライドアップ

 ↓

上記の③と同じパターンで、今度は低音をチェストボイスからスライドアップする

 ↓

1〜4までを他の母音でも行う。


母音の響きを変えていくことは、フォルマントを変えて共鳴を変化させることに繋がりますが、レジスターバランスを整えることにも関わっています。

 

 

 

 

 

 

4.1 歌唱に必要な発声で何よりも大切なのは、レジスターバランス!

 

パワフルな重い質感の中低音の音域での音色=チェストレジスター
柔らかな優しい高音域での音色=ヘッドレジスター

です。

チェストボイスの音色の中に「Softness(やわらかさ)」が混じると、ヘッドボイスのレジスターへと繋がっていきスムーズにヘッドボイスと行き来ができます。
その音量を楽な発声の状態をキープできる範囲で、少しずつ上げながら強化させていくことによって、ミックスボイスの微細なコントロール力を上げていくことができ、チェストミックスやヘッドミックスの発声が可能になります。

トレーニングの目的の根幹となっているのは、ある特定のレジスター(人によってチェストレジスターやヘッドレジスターなのかそれぞれ違います)だけが優位な状態に対して、まずは弱い方のレジスターを鍛えることによってバランスを整えていくと言う考え方です。

続いて、レジスターバランスを整える際に重要な要素があります。

 

 

 

 

 

 

4.2 「力み」は発声の上で1番の敵

 

「力み」は発声の上で1番の敵
CONSTRICTION is the big enemy of singing in CCM style (somatic voice work℠より)

上の文章では、「力み」は発声の上で1番の敵となるものだと言っています。

締め付け感の原因は、発声時に嚥下(えんげ)に使う筋肉を使うことによっても起こります。
喉周りの筋肉を収縮させたままリリースできずに歌ってしまうと、音楽的にもボイスヘルス的にも発声の問題がでてしまいます。
締め付けなしにバランスの取れた音色を出せるような感覚を身につけるために、発声器官の調整を行いましょう。

 

 

 

 

 



いかがでしたでしょうか?
下記に本日のまとめ実践ガイドも書き記してあります。
一人で行き詰まったときにお手伝いが必要な場合は、ボイストレーナーとしてそしてシンガーとしての知識・スキル・経験をフル活用してお役に立てるように全力でサポートします。
お気軽に体験レッスンのお申し込みもお待ちしています♪

 

 

 

 

ミックスボイスのトレーニング方法のまとめ

ミックスボイスのトレーニング方法の主な目的はレジスターバランスを整えることです。

そのために、
☆母音と音量を調整しながら細かな微調整で取り組んでいく

<母音の調整によるミックスボイストレーニング>
出しやすい母音から取り組み全ての母音で行う
①ヘッドボイスからチェストボイスへ1オクターブのスライドダウン
高音が出しにくくなるブリッジの音程(=地声を張り上げないと出ない音程)より高い音程(男性だとC#4~E4あたりから/女性だとC#5~E5あたりから)ヘッドボイスで1オクターブ低い音程までスライド。
できるだけゆっくりと、低い音程にかけてチェストボイスへとスライドを移行。
スムーズに楽にできるようだったら、最高音と最低音が楽に発声できる範囲で音程を変える。

②同じ母音と同じ音程で、今度はチェストボイスの音色を『明るく』する。
その時に、唇のポジションをチェストボイスと比較して相対的に口角を軽く上げてスマイルの口。
明るいチェストボイスの音色=音質にライトさが加わったチェストミックスの音色。
これも楽に発声でき、音色の違いを作り出すことができたら、色々な音域をエクササイズする。

③低音から1オクターブ上までチェストミックスからスライドアップ

④上記の③と同じパターンで、今度は低音をチェストボイスからスライドアップする

☆その際に発声時の感覚を高めながら行う
ことが大切です。
発声が人それぞれ異なるため、 オンリーワンのこのやり方やエクササイズがあるのではなくバランスの整え方は人それぞれです。

レジスターバランスを整えていくために 自分の声(聴覚)と身体の感覚(筋感覚)を同時に高めていく意識を持ちながら取り組んでいきましょう♪


実践ガイド:このようなケースが当てはまっていませんか?確認してみましょう。

チェックするポイントはたくさんありますが、中でも多くみられる問題を今回は3つお伝えしたいと思います。

①タングポジションやコンディション:舌の位置が後ろに引き込んでいないか?もしくは、硬直していないか?
②口の開き:『あ』『え』『い』の母音の際に、下顎は楽に空いているか。口の開きが足りない場合が特に多い
③アーティキュレーション(調音/構音):表情筋を使いすぎていないか?
母音の調音に表情筋は関係ありません。ハキハキと発音するように指導を受けている演劇系の方が特に、唇を思いっきり後ろに引いて硬直させていないか、頬筋まで使いすぎていないかを意識してみましょう。

基本の母音のアーティキュレーション/調音(構音)方法については以下で紹介しています。
【高音の出し方】ヘッドボイスを楽に出す方法の < 4.Descending Slides&Scales:下降のスライドと音階を母音で>

以上のようなレジスターバランスやアーティキュレーション(調音/構音)以外にも、発声時に必要なバランス感覚や意識する項目がたくさんあります。

✔︎姿勢ー特にAO関節の頭のバランス  
   ー肋間筋の支えと横隔膜の制限されていない動き
✔︎呼気の強さや長さのコントロール力
✔︎息を吸う際に力みがないか
✔︎レジスターや共鳴が原因ではない音色の調整ーBreathy(息漏れ)やNasal(鼻にかかりすぎた音)やNoisy(雑音が入る)

などなど。それらを事細かく観察しながら調整していきます。



★最後に(よくある質問)
レッスンで、チェストボイスやヘッドボイスなどのレジスターを鍛えたり、バランスを整えたりすることをボイストレーニングで取り組む中で、
「このフレーズ(または曲)は、どのレジスターで歌うことが正解ですか?」
と聞かれることがよくあります。
でも、それは、ボイストレーナーの私や他のだれかが決めることではありません。
「あなたは、自分のボーカルスキルを使って、どう表現したいですか?」
これは、ボイステクニックの話ではなく、歌の表現の話になります。

『チェストボイス、ヘッドボイス、チェストミックス、ヘッドミックス、ベルトボイス、などのそれぞれのレジスターを自由に発声できるボーカルスキルを使って自分の思いのままに表現することができる
これこそが、歌の醍醐味だと思います。

歌詞やメロディや和音の響きから想像する世界観を、自分の声をどう使ってどのように表現したいか?
歌の表現の芸術性を高めていく作業はとても楽しく、自分らしさを発揮できる自由な世界です。
「表現したい」が先にきて、そのために必要なレジスターを自分で選び取りながら、思いのままに声で表現していきましょう!

色々な表現が可能になるためのボーカルテクニックを身につけていくボイストレーニングと、たくさんの素晴らしいシンガーや色々な音楽を聞いて自分の音楽的なセンスやアイデアを磨いていく芸術的センスを磨くことは、どちらも同時に深めていくことがとても大事だと思います。
歌はとても奥が深いです。
その歌の世界をぜひご自身のスキル、感受性と共に深めていきましょう。
一人でうまくいかない時には、どうぞお気軽にレッスンにお越しくださいね♪ 趣味で歌いたいという方も、分かりやすく丁寧にお伝えしていきます。



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