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Follow @mushmusicschoolBOOM BOOM SATELLITESのようなハイセンスでエレクトロ・ロックなトラックを作ろう!(シンセパート編)
2019/12/25
作詞・作曲・編曲・DTM
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Follow @mushmusicschoolマッシュミュージックスクール DTM科・トラックメイク科講師の坂本竜太です。
今回は前回のドラムパート編に引き続き「BOOM BOOM SATELLITESのようなハイセンスでエレクトロ・ロックなトラックの作り方」の後編となるシンセパート編を解説していきたいと思います。
ちょっとしたテクニックを確実に重ねていくことで生み出される、疾走感溢れるフレーズの作り方や各種プラグインの設定、 音色のレイヤー方法など、様々な場面で応用が効くテクニックとなっています。
冒頭部に動画解説。
それ以降は文章・音源での解説になっています。
それでは詳しく見ていきましょう。
動画解説
目次
①エレクトロ・トラックを聴いてみましょう。(リズムトラックをミュート)
ますはデモ楽曲を聴いてみましょう。
いかがでしたでしょうか?
リズムパートをミュートして聴いてみると、よりシンセパートの構成が見えやすくなったかと思います。
適材適所に丁寧にフレーズや音色を配置することで、ステレオ感の広いワイドレンジなサウンドを作ることができます。
それでは楽器パート別に見ていきましょう。
②ピアノトラックの構成と打ち込みのテクニック
ではまず、このパートのピアノトラックのみを聴いてみましょう。
エレクトロ・ロックなアレンジに絡むピアノフレーズはエレガントさを演出するにはかなり効果的です。
このピアノフレーズは主に「メインパート、低域パート、高域パート」の3トラックに分けて構成されています。
これは
①メインパート、低域パート、高域パートのそれぞれに異なるプラグインを使いたい
②リアルタイム入力ではなくステップ入力でじっくりとフレーズを作りたい
という2つの理由からです。
2.1 ピアノのフレーズの分け方
では、実際にどのようなフレーズ分けになっているのか聴いてみましょう。
①メインパート
②低域パート
③高域パート
3トラックに分けることで、
★楽曲全体の中では「重すぎてしまう低域パートのLOWをEQで個別に調整」できる
★リバーブなどの空間系プラグインのかかり方や種類を変える
など、フレーズ全体をより細部までにエディットしていくことができます。
ですが、それぞれのトラックにピアノ音源と空間系などの比較的重いプラグインがインサートされていることになりますので、 CPUの負荷はやや大きくなってしまいます。
この辺りはマシンスペックや追求したい表現に合わせて変えていくと良いでしょう。
2.2 MIDIノートを微妙にずらす
また、ピアノ演奏をよりリアルに表現するために、「コード弾きの部分はアタマのMIDIノートを微妙にずらす」というテクニックを使っています。
全てのノートが同時に鳴ってしまうと非常に機械的で味気ない雰囲気になってしまいますが、 実際に人間が演奏する時のような微妙なズレを表現することにより表情豊かなピアノフレーズに仕上がってきます。
写真画面右の「イベント」部分で、2段目の数字が「1. 1. 1. 41.」となっていますが、 「末尾の41というのがずらしている値」になります。
ここは2つの音が同時に鳴っているのですが、低い音はジャストなタイミングで「1. 1. 1. 1.」なのに対して、高い音はは少し遅らせて鳴らしている、ということになります。
どれくらいずらすか?などの値はピアノのフレーズや楽曲のBPMによって変わってきますので、 実際に色々と試してみるのが良いでしょう。
③シンセトラックの構成とアレンジ (前半)
ではまず、このパートのシンセトラックのみを聴いてみましょう。
3.1 トラック構成
このパートはピアノ以外に
①メロディーシンセ
②アクセントシンセ
③シンセベース
④ストリングス
⑤フェードアップFX効果音
で構成されています。
3.2 サウンドメイキング手順
①楽曲全体のステレオ感を左右するピアノとストリングスを「WAVES : S1でグッとワイドレンジに広げセンターに他の音を置きやすくして、
②後に入るボーカルメロディーに対しての「裏メロディー的な役割になるメロディーシンセ」はブライトで長すぎないリバーブとステレオディレイなどを使い浮遊感を持たせながらセンターに配置
③00:06から登場する「シュワシュワしたアクセントシンセ」は 深めのリバーブとステレオディレイで空間にさらなる立体感と奥行きを与える
④エレクトロな楽曲の定番とも言える 「ビートの裏拍に置くシンプルなシンセベース」
前回の「リズムパート編」でも触れていますが、「低域が膨らむようなリバーブは避ける」ということがポイントです。
音を重ねていくと必然的に低域はどんどん膨らんでいきます。
リバーブの質感は音色そのものにも左右されますので、 「音を重ねる度に低域の処理をしっかりと行うこと」が大切です。
低域は高域をマスキングしてしまいますので、不要な低域が溜まっていると他のトラックのHIGHを必要以上にブーストしてしまい、楽曲全体のEQバランスが崩れてしまう原因になります。
個人的なオススメとしては低域の処理は10バンド前後のEQを使用するより、一聴して音の変化が分かりやすい、 Logic Pro X付属の「Single Band EQのLow Cutなどを使って大胆にバッサリとカットしていく方法がオススメ」です。
④シンセトラックの構成とアレンジ (中盤)
ではまず、このパートのシンセトラックのみを聴いてみましょう。
4.1 トラック構成
次にシンセパートの中盤ですが、このパートはピアノ以外に
①リードシンセ(2種類 : 音色違いでユニゾンでレイヤー)
②リードギター
③シンセベース
④サイドチェインコンプレッサー用のキック(①のリードシンセに適用)
で構成されています。
4.2 サウンドメイキング手順
ここはハイセンスなエレクトロ・ロックの聴かせどころでもある「ファットなEDM系リードシンセとリードギター」が肝になるパートです。
①リードシンセは2種類のサウンドをレイヤーして作ります。
これはこのようなリードシンセに限った話ではなく、例えばキックやスネアなどと同様に「ひとつの音色で全てを賄おうとしないということがポイント」です。
「それぞれの音色の得意な部分や足らない部分を聴き分けて、そこを互いにサポートし合うようにレイヤーするのがコツ」です。
②フレーズとしてはパキッとしたタイトで明るい印象を出したいので同じフレーズでユニゾン構成になっています。
ここで再注目していただきたいポイントが以前のブログ(サイドチェインコンプ)でも解説いたしました「リードシンセのサイドチェインコンプレッサー」です。
今回は以前の時とは異なり「メインのリズムのキックとリードシンセがシンクしておらず、常に4分音符のタイミングでリードシンセの音量が下がっている」という点です。
でもキックの音は4分音符で聴こえませんよね?
これは「サイドチェインコンプレッサー用のキックを鳴らしてはいるものの、その音自体は必要ないのでフェーダーの値ををゼロにしている」という状態なのです。
「BUS1(リードシンセ側のコンプレッサーに送る信号)の送り方がプリフェーダーになっているので、フェーダーの値をゼロにしてもキックが鳴っているという情報だけがBUS1からリードシンセ側のコンプレッサーに送られているという状態」になっています。
このテクニックはとても応用が効くので覚えておくと便利です。
⑤シンセトラックの構成とアレンジ (後半)
ではまず、このパートのシンセトラックのみを聴いてみましょう。
5.1 トラック構成
最後にシンセパートの後半ですが、このパートはピアノ以外に
①リードシンセ(2種類 : 音色違いでユニゾンでレイヤー)
②リードギター
③シューゲイザーギター
④シンセベース
⑤ストリングス
⑥フェードアップFX効果音
で構成されています。
5.2 サウンドメイキング手順
このパートの肝となるのは短いノートで細かく刻む疾走感のあるリードシンセです。
①音色の構成はシンセトラックの構成とアレンジ (中盤)で解説したのと同じように、リードシンセは2種類のサウンドをレイヤーして作っています。
②そしてこの疾走感を作るコツは「シンセの音をを裏拍だけでなく1拍目にも打ち込む小節を作ることで、 平坦になってしまいがちなフレーズにアクセントをつける」ということろになります。
この1拍目のアクセントがあることでステレオディレイのかかり方にも変化が付き、とても効果的です。
ここはステレオディレイをかけなくてもフレーズとしては成立しますが、ステレオディレイをかけた方がより空間的でリッチな質感に仕上げることができます。
③ストリングスはボリュームのオートメーションを書いているのみですが、ノートによっては立ち上がりが遅く感じる場合がありますので、 MIDIで打ち込むタイミングを少し前に出してあげることでBPMのノリと疾走感を損なわないようにします。
④そして以前のブログ(シューゲイザーギターサウンド前編・シューゲイザーギターサウンド後編)でも解説いたしました「シューゲイザーギターサウンド」が今回はその応用編として登場しています。
以前のブログでもエレクトロ・サウンドにマッチするお話は書かせていただきましたが、今回はリードシンセのパキッとしたフレーズのバックで唸るような躍動感を与える役割を担っています。
⑤また、小節の最後に「シュッ」というFX効果音が入っていますが、ここはドラムのフィルイン(スネア)の最後の部分と重なるので、こうした細かい小技を入れると楽曲にメリハリが出て全体のクオリティーアップにもつながります。
⑥そして楽曲の最後を飾るピアノフレーズは、一聴するとなかなか難しそうなフレーズですが、これも②のピアノトラックの構成と 打ち込みのテクニックで解説したものと同じく、「メインパート、低域パート、高域パート」の3トラックと、それに加えてもう2トラック、 アクセントフレーズ用のトラックとディレイフレーズ専用のトラックの計5トラックで構成されています。
そしてこのフレーズは「全て1音1音ずつのステップ入力で作っています」。
僕自身、ピアノは幼少期に1年ほど習っていましたが、 今では両手がバラバラに動かせる程度でほとんど弾けません。
ですがそこで「ピアノが弾けない=ピアノフレーズは取り入れられない」と考えてしまってはもったいないと思いませんか?
ここはDTMの良さを活かすところです。
「大切なのは自分の頭の中にフレーズをしっかりとイメージすること」です。
そして「そのイメージしたフレーズを少しずつステップ入力で打ち込み、いくつも重ねていく」。これで充分です。
また、「そのフレーズはピアニストが実際に弾けるのか?弾けないのか?ということも関係ありません」。自由です。
既存の概念にとらわれず「聴いていて心地良い」、これだけを追求し自分の思い描くフレーズを追求しましょう。
気に入ったフレーズができるまで何度もトライ。
タイミングをズラしてみたりベロシティーを細かく調整したりと、 慣れてくると、とても奥深く楽しい工程でもあるのでぜひ試してみて下さい。
いかがでしたでしょうか?
「ハイセンスでエレクトロ・ロックなトラックを作ろう!」というテーマで前編(リズム編)・後編(シンセ編)と2回に渡り解説しましたが、適材適所なフレーズ構成と音色選び、そしてプラグインの細かなセッティングを行うことで、 シンプルなトラック数でもしっかりとした楽曲に仕上がるということを感じていただけたら幸いです。
リズムもシンセも同じですが「たくさん音を重ねる前にひとつひとつのフレーズや音をしっかりと細部まで作りこむ」ということが大切です。
そうすることでひとつひとつのフレーズや音の存在意義や価値がより際立ってきます。
今回は以前のブログで解説した①サイドチェインコンプレッサーや②シューゲイザーギターの作り方の応用編も交えつつでしたのでぜひ皆さんもご自身の楽曲に取り入れてみてください!
下記に本日のまとめと実践ガイドも書き記してあります。
ご自身の音楽生活に役立ててください!
是非一度、当スクールレッスンにも遊びに来てください。
それでは次回のブログもお楽しみに!
坂本竜太講師の執筆ブログ記事ページ
まとめ
①エレクトロ・ロックとピアノの相性は抜群!
ピアノは弾けなくてもじっくりとステップ入力でOK!
トラックも音域ごとに分けて細かな処理をしよう!
②サイドチェインコンプレッサーのテクニックは自由自在!
実際には鳴っていないキックのタイミングでも使用可能!
③平坦なシンセフレーズにならないように「ひと手間をかけることを惜しまない」ことで楽曲のクオリティーアップにつなげよう!
実践ガイド
今回の流れをオーディオデータと画像で解説
デモ楽曲
ピアノトラックのみ
ピアノ メインパート
ピアノ 低域パート
ピアノ 高域パート
シンセトラック 前半部分
シンセトラック 中盤部分
シンセトラック 後半部分
画像解説
①ピアノのMIDIロール画面_全体
②ピアノのMIDIロール画面_メインパート
③ピアノのMIDIロール画面_低域パート
④ピアノのMIDIロール画面_高域パート
⑤ピアノのMIDIロール画面_ノートを微妙にずらす
⑥シンセパート画面_前半
⑦シンセパート_画面_SINGLE_BAND_EQ
⑧シンセパート画面_中盤
⑨シンセパート画面_中盤_リードシンセのレイヤー
⑩サイドチェインコンプレッサーの画面
⑪シンセパート画面_後半
⑫シンセパート画面_刻み系シンセ_MIDIロール
⑬シンセパート画面_ストリングスとFX
⑭シンセパート画面_ピアノ_MIDIロール
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