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Follow @mushmusicschoolNative Instruments:サードパーティー製KONTAKT音源を活用しよう!第2回:Impact Soundworks:VOCALISA – Slavic Women’s Choir(前編 : 概要とサウンドメイキング)
2021/4/26
作詞・作曲・編曲・DTM
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Follow @mushmusicschoolマッシュミュージックスクール DTM科・トラックメイク科講師の坂本竜太です。
前回に引き続き、Native InstrumentsのKONTAKTフォーマットに最適化されたサードパーティー製の ソフト音源の活用方法について解説していきたいと思います。
第2回目となる今回はブルガリアン・ボイスのコーラス音源の「Impact Soundworks : VOCALISA – Slavic Women’s Choir -」の解説となります。
まず、「ブルガリアン・ボイス」と聞いてもいまいちピンと来ない方も多いかと思いますので少し解説したいと思います。
ブルガリアン・ボイスはその名前の通り、ヨーロッパのブルガリアで歌われている民族・合唱音楽のことで、独特の発声や不協和音を随所に用いたハーモニーなど独創的なスタイルの音楽となっています。
この「ブルガリアン・ボイス」の特徴と日本の伝統的な民謡音楽をミックスさせた有名な作品として、 押井守監督作品のサイバーパンクアニメーション「イノセンス 」のサウンドトラックが挙げられます。
【イノセンス : サウンドトラック : 川井憲次 : Apple Music】
このサウンドトラックの中で「西田和江社中」とクレジットされた楽曲で、この「和製ブルガリアン・ボイス」ともいえる 独創的なハーモニーを聞くことができますのでぜひ聴いてみて下さい。
【ブルガリアン・ボイスについて : ウェブ記事】
KONTAKTフォーマットに最適化されたサードパーティー製のソフト音源の活用方法シリーズ
Native Accessに対応していないサードパーティー製音源のセッティング方法
第1回 : Auddict : Celestial Voices Calypso(前編:音源の管理・サウンドメイキング)
第1回 : Auddict : Celestial Voices Calypso(後編:MIDIの打ち込みのコツ~キースイッチの使い分け)
KOMPLETE ULTIMATEシリーズを使い倒したブログ記事・動画
第1回:ドラムトラック編 (STUDIO DRUMMER)
第2回 : Guitar Rigの活用 : 基礎編 (ギタートラック : イントロ & ベーストラック)
第3回 : Guitar Rigの活用 : 応用編 (ギタートラック)
第4回 : DAMAGEの使い方 ~ 活用方法
第5回 : ACTION STRIKEの使い方~活用方法
第6回 : THE GRANDEUR(ピアノ音源)の使い方~実践的なプラグインの活用方法
第7回 : BRASS ENSEMBLE - SYMPHONY ESSENTIALS -(ブラス音源)の使い方 ~ 実践的なプラグインの活用方法
第8回 (最終回) : RISE & HITの実践的な活用方法
動画解説
Native Accessに対応していないサードパーティー製音源のセッティング方法
また、私が制作したものの中で
「KOMPLETE 12 ULTIMATE」のライブラリー中心に制作したサウンドトラック集
があります。
こちらも是非ご参考にしてください。
目次
①まずはデモ楽曲を聴いてみましょう
ますはデモ楽曲を聴いてみましょう。
デモ楽曲
デモ楽曲(Vocalのみ)
いかがでしたでしょうか?
「VOCALISA」はブルガリアン・ボイスの独創的な歌唱法をとても美しく再現した音源となっており、今回のデモ楽曲のようなオーケストラアレンジをベースとした民族音楽を始め、 映画やドラマの劇伴作家、またゲームのサウンドデザイナーを目指している方などにも幅広く活用していただける音源となっています。
今回は前編として「VOCALISAの音源の概要と実践的なサウンドメイキング」を中心に解説していきたいと思います。
また、今回のデモ楽曲で使用されているソフト音源はNative Instruments : KOMPLETE 12 ULTIMATEの中から 「ACTION STRIKE」、「DAMAGE」、「SYMPHONY_ESSENTIALS : ◉BRASS ENSEMBLE / ◉STRINGS ENSEMBLE /◉CELLO / ◉PERCUSSION」、「SESSION GUITARIST」などが中心となっていますので、既に掲載されている「KOMPLETE 12 ULTIMATEを 使い倒そう! : 1~8」のブログと併せて活用していただければと思います。
【Impact Soundworks : VOCALISA – Slavic Women’s Choir】 : 製品紹介
②VOCALISAの画面構成
では「VOCALISA」の画面構成から見ていきましょう。
まず「VOCALISA」は画面右上の
「PERFORMANCE」
「MIXING & EFFECTS」
「SYLLABLE TWEAK」
の3つのパラメーターをそれぞれエディットしながらフレーズや音を作り込んでいく構成になっています。
ここで一番キモとなってくるパラメーターは「PERFORMANCE」となっていますので、まずはこのパラメーターを見ていきましょう。
「VOCALISA」にはソプラノ、メゾ、アルト、ソリスト、フルコーラス、FX(呼吸、拍手)など様々なパートが選択できるようになっており、
今回のデモ楽曲のメインパートでは「1a Full Choir Master」と↓
「2a Sopranos Master」の2種類を使用しています。↓
それぞれ画面下のキーボードの画面の黄色(&赤色)の部分がキースイッチのエリア、青色の部分が実際にメロディーを弾くエリアとなっており、キースイッチで「EH」「SHTEH」「OH」[MAH」「SYAH」など発声のスタイルを選択しながらフレーズを作り出せる構成になっています。
キースイッチの概念はその他の一般的なソフト音源と共通となっていますので分かりやすいかと思います。
またこの「PERFORMANCE」のパラメーターでは「GRID MODE」と「KEY SWITCH MODE」の2種類が画面中央のタブから 選択できるようになっていますが、今回はより自由度の高いフレーズを作るために「KEY SWITCH MODE」を使用しています。
③「MIXING & EFFECTS」でサウンドの土台を整える
次に「MIXING & EFFECTS」の各種パラメーターを見ていきましょう。(上画像参照)
「COMPRESSOR」「EQUALIZER」「REVERB」「STEREO」「NATURAL RELEASE」と並んでいますが、 今回は「COMPRESSOR」と「EQUALIZER」の2つのみ使用しています。
▲「COMPRESSOR」 : ON : LEVEL : -22.5
▲「EQUALIZER」 : ON : LOW : -2.0 / HIGH : 0.00
では「COMPRESSOR」と「EQUALIZER」のON/OFFでそれぞれ聴いてみましょう。
COMP_EQ_ON
COMP_EQ_OFF
このように「COMPRESSOR」と「EQUALIZER」のみだけでも音の張り出し感がグッと変わったのが感じられるかと思います。
ここでは「プラグインで音を作り込む前の下準備的なエディット」としてシンプルに「COMPRESSOR」と「EQUALIZER」のみを適用し、さらに細かなサウンドメイキングはトラックにインサートしたプラグインで行っていく、という流れになっています。
このように「ソフト音源の各種エフェクトはプラグインで作り込む前の下準備的なものに留めておく」というステップは、 今回の「VOCALISA」以外のどの音源でもとても有効なテクニックとなっていますのでぜひ取り入れてみて下さい。
④プラグインによる音のエディット~作り込み
4.1 使用プラグイン・聴き比べ
次に「VOCALISA」のトラックにインサートされているプラグインを見ていきましょう。
今回使用しているプラグインは
①Compressor (WAVES : Rcompressor) → ②EQ (WAVES : Q10) → ③Stereo Imager (iZotope : Ozone Imager 2) → ④Reverb (Native Instruments : Raum)
の順にインサートしています。↓
ではプラグインをON/OFFの状態で聴き比べてみましょう。
プラグイン_ON
プラグイン_OFF
こうして聴き比べると「プラグインオフの状態だと音がこもりすぎてしまい、全体的にヌケが悪い印象」になっています。
このように「コーラス = 人間の声」はとても豊かな低域~中域の成分を含んでいるため、この辺りの「帯域の溜まり」を EQでしっかりとエディットすることで「豊かな響きながらもスッキリとした透明感のある質感」に変えることができ、 他の楽器とのアンサンブルをバランス良く聴かせることができます。
4.2 プラグインの作り込み
ではプラグインごとの設定と役割を見ていきましょう。
①Compressor (WAVES : RCompressor)
ここでのコンプレッサーの役割は「音が次のプラグインへ入る前の下準備的な役割」となっており、 最大のリダクション値が「-1.1dB」と軽めのセッティングになっています。
▲Attack : 22.5 / ▲Release : 55.5 / ▲Threshold : -15.5 / ▲Ratio : 2.00
↓
②EQ (WAVES : Q10)
ここでのEQは先述の低域~中域の「帯域の溜まりを解消させる役割」と「クリアな音ヌケを作る役割」となっていますので、 アナライザーで特定の帯域を確認しながら350Hz~710Hz辺りを抑えつつ、5000Hz、7500Hz、15000Hzを それぞれ2.5dBずつブーストして透明感のある質感に仕上げています。
▲350Hz : -2.5dB / Q : 15.5 ▲710Hz : -1.5dB / Q : 15.5 ▲5000Hz : +2.5dB / Q : 8.5 ▲7500Hz : +2.5dB / Q : 8.5 ▲15000Hz : +2.5dB / Q : 8.5
↓
③Stereo Imager (iZotope : Ozone Imager 2)
楽曲全体のステレオレンジが広いためここでステレオイメージを調整します。 「VOCALISA」のエフェクトの中にも「STEREO」というパラメーターがあり、ここで行っているエディットと同様のことができますが、 「ソフト音源 = VOCALISA側のステレオイメージャーで音像を広げると、その広がった音に対してトラックのプラグインが適用される」ため、今回はより自然な広がりを出すためにトラックにインサートしたステレオイメージャーでステレオレンジをエディットしています。
【iZotope : Ozone Imager 2】 : 製品紹介 (フリープラグイン)
▲Width : 50% / Steresize : 5.5ms
↓
④REVERB (Native Instruments : RAUM)
今回のリバーブは豊かな量感とキメ細かな質感が特徴的な「Native Instruments : RAUM」を使用しています。
リバーブをインサートする際に気をつけておきたいポイントとしては「リバーブ後の音の膨らみは原音 = リバーブに入ってくる前の音のEQの質感に左右される」という点です。
今回はひとつ前のEQで中域の「音の溜まり」を解消させているので伸びやかなリバーブ効果を得られていますが、この中域の「音の溜まり」が解消されていない状態でリバーブをかけた場合、「そのまま中域の音の溜まり部分にもリバーブの成分が適用されてしまう」ため、不要な中域までも膨れ上がってしまうことになりますので、リバーブ前のEQ処理はしっかりと行っておきましょう。
またこれはボーカル音源に限らず全ての音源に共通するポイントです。
【Native Instruments : RAUM】 : 製品紹介
▲Feedback : 0.0% / ▲Predelay : 0.00ms / ▲Low Cut : -5.50 dB / ▲High Cut : Off ▲Mix : 28.5% / ▲Reverb : 100% / ▲Diffusion : 25.0% / ▲Size : 50.0% / ▲Decay : 2s ▲Modulation : 25.0% / ▲Damp : 25.0%
いかがでしたでしょうか?
今回の「VOCALISA」は一般的なコーラス音源とはやや異なり、個性的なコーラス音源となっていますが、 映画やドラマ・ゲームのサウンドデザインなど多方面で活用できる表情豊かなハイクオリティーな音源となっています。
今回のブログを参考にしていただき、ぜひ皆さんの楽曲でも使ってみていただければと思います。
次回は「後編 : MIDIの打ち込みのコツ~キースイッチの活用」の解説となりますのでお楽しみに!
下記に本日のまとめと実践ガイドも書き記してあります。
ご自身の音楽生活に役立ててください!
質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。
是非一度、当スクールレッスンにも遊びに来てください。
坂本竜太講師の執筆ブログ記事ページ
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第2回 : Guitar Rigの活用 : 基礎編 (ギタートラック : イントロ & ベーストラック)
第3回 : Guitar Rigの活用 : 応用編 (ギタートラック)
第4回 : DAMAGEの使い方 ~ 活用方法
第5回 : ACTION STRIKEの使い方~活用方法
第6回 : THE GRANDEUR(ピアノ音源)の使い方~実践的なプラグインの活用方法
第7回 : BRASS ENSEMBLE - SYMPHONY ESSENTIALS -(ブラス音源)の使い方 ~ 実践的なプラグインの活用方法
第8回 (最終回) : RISE & HITの実践的な活用方法
【今回の音源を使用した講師制作の参考楽曲 : YouTube】
まとめ
①「VOCALISA」は独創的なコーラス音源ながらもキースイッチの概念はシンプル!まずはどんどん試してみよう!
②ソフト音源側のエフェクトは「プラグインで音を作り込む前の下準備的なエディット」として考えるのがポイント!
③「VOCALISA」を始めコーラス音源のプラグイン処理はEQがキモ!「帯域の溜まり」を解消させてクリアな質感に仕上げよう!
実践ガイド
今回の流れをオーディオデータと画像で解説
デモ楽曲
デモ楽曲(Vocalのみ)
COMP_EQ_ON
COMP_EQ_OFF
プラグイン_ON
プラグイン_OFF
画像解説
①VOCALISA_画面構成_ PERFORMANCE
②VOCALISA_画面構成_ MIXING_&_EFFECTS
③VOCALISA_画面構成_ SYLLABLE_TWEAK
④VOCALISA_FULL
⑤VOCALISA_SOPRANOS
⑥GRID_MODE
⑦KEYSWITCH_MODE
⑧MIXING_EFFECTS_音の土台を整える
⑨プラグイン画面
⑩プラグイン_COMPRESSOR
⑪プラグイン_EQ
⑫プラグイン_STEREO_IMAGER
⑬プラグイン_RAUM
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